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2008-04-25 [Fri]
前回語ったのはなかったことにして、論文を分割でガツガツ載せていきます。

すべて選択、コピー! って試しにやってみたらさすがにフリーズしやがりました。


第一回は、「先行研究」です。

興味のある方だけ。
というか正直なとこ、読む人いないんじゃないかと思うんですが。
私なら読まん(オイ。

ふと気になったときにでもどうぞ。
長いですよ。

※しょせん学生の論文ですので、至らないところとか多数見つかることとは思いますが、ご容赦ください。

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1. はじめに

 現代の表記は,いうまでもなく漢字仮名交じり文である。この漢字仮名交じり文というのは,これもいうまでもないことだが,漢字と平仮名,片仮名からなる。私たちは文章を書くときに,多くの場合はほとんど意識せず,漢字と平仮名,片仮名を使い分けている。漢字にできる単語は漢字にし,外来語など片仮名がふさわしければ片仮名を使用し,他は平仮名で表記する。しかし,小説や雑誌,漫画,歌詞などを見ていると,これらを意識して使い分けている例を目にすることがある。例えば,

 ① 我侭な女性は嫌だ
 ② わがままな女性はいやだ
 ③ ワガママな女性はイヤだ

 というふうに,三つの例を考えると,それぞれの文から受ける印象は決して同じではない。「ワガママ」よりも「我侭」の方がよりその度合いが強いように感じるし(これは個人差があるだろう),この台詞を口にしている人物像もそれぞれ性格が異なるような印象を受ける。
 では具体的に,漢字表記,平仮名表記,片仮名表記を使い分けることで,文から受ける印象はどのように変わってくるのだろうか。どのような文に,どのような表記がふさわしいのだろうか。小説に見られる表記や,アンケート結果を中心に考察していきたい。

 

2. 先行研究

2-1. 表記の歴史
 以下は,金田一春彦(1988)『日本語百科大辞典』「Ⅵ文字と表記」(参考文献1)を参考に,表記の歴史をまとめたものである。

2-1-① 漢字表記の歴史 
 漢字を取り入れるまでは,日本には文字は存在しなかったといわれている。漢字を取り入れ,文字としての働きを理解して初めて,日本の事柄を記録するということが可能となった。しかし,漢字はあくまで中国語を書き表わすための文字である。最初のうちは,漢字を使って日本語を書くことは不可能であった。しかしやがて,漢字を使い慣れていくうちに,日本語を書き表わすための文字に作りかえる工夫が行なわれた。漢字の,意味と発音とを同時に表すという働きを利用したのである。以前は日本になかった物や事柄を中国から輸入した場合,その漢字の意味を利用し,発音は日本語風にかえて読むようにした。古墳時代には,日本語を漢字で書き表わすことができるようになった。とはいえ,最初の姿は漢文に近く,文字の並べ方は原則として漢文の順序になっていた。しかし,やがて漢字を使い慣れると,文字の順序を日本風に崩した文章が書かれるようになる。そのような文体を変体漢文という。

2-1-② 仮名の成立
 仮名は仮の名と書くが,これは真名(漢字のこと)を転用した,仮の字という意味である。万葉仮名(『万葉集』に数多く使われたので,このように呼ばれる。漢字の形はそのままだが,漢字の持つ意味は無視し,発音だけを利用して日本語の発音を表したもの)を書きくずしたのが平仮名,字画の一部をとったのが片仮名である。片仮名は平安時代からそう呼ばれていたが,平仮名の名称はかなり新しいもので,古くは「女手」と呼ばれていた。平仮名という名称が使われ始めたのは,江戸時代初期ごろではないかといわれている。
 万葉仮名は,もともと日本の地名や人名を表すのに用いられ,やがて歌の表記にも使われるようになったものである。しかし,奈良時代末期ごろになると,普通の日本語の文章を万葉仮名で書いたものがあらわれた。「正倉院万葉仮名文書」と呼ばれる二通の手紙である。この手紙では,私的な内容のためか,万葉仮名が行書体に書きくずされており,漢字のおもかげを残していないものもある。この行書体に書きくずされた文字に,仮名が誕生するときの姿を見ることができる。奈良時代の初期から,漢字を書きくずしたものは,万葉仮名に交じって使われていた。なかでも,戸籍や通信などの実用的な文書に限って使われている。また,そのような文書をみると,同じ発音を表す万葉仮名でも,できるだけ字画の少ない簡単なものを選んで使う傾向がある。たとえば,マを表すのに,「摩」や「麻」よりも「末」や「万」を使う,というような具合である。その傾向が強くなり,字を大きく書きくずしたり一部を省略するするようになったと考えられ,このあたりに平仮名や片仮名が作られた動機があったと推定できる。
 平仮名は,「万葉仮名文書」のような,文全体を万葉仮名で書いたものを祖先とし,草仮名から成立したといわれている。草仮名とは,万葉仮名を草書体に書きくずしたものである。草書体で書かれたものには,歌や私的な手紙が多い。平仮名についても同じことがいえる。平仮名ははじめ,そのような用途の字として成立したと考えることができる。やがて,『土佐日記』をはじめとして,文学作品が平仮名で書かれるようになり,このとき日本語は,それを自由に書き表わすことのできる文字を持つようになったといえる。
 一方,片仮名の成立は,平仮名とは異なる。片仮名は,漢文を読むためのメモから成立したといわれている。漢字を日本語に当てはめる工夫と同時に,漢文を日本語の文章に直して理解することが工夫され,平安時代の初期から,漢文を訓読するための読み方を記号やメモで示す方法ができた。これを訓点という。訓点はメモであるので,早く書く必要性があり,また,狭いところに書かなくてはならなかった。そのため,万葉仮名の一部を省略して使ったのが片仮名になったと考えることができる。つまり,片仮名は,本来文章を書くための字ではなかった。片仮名でまとまった文章を書くようになるのは,平安時代の末からである。

2-1ー③ 漢字仮名混じり文
 はじめは,日本語を漢字だけで書いていたが,この書き方では助詞,助動詞や活用語尾などが書きにくいだけでなく,文の形が直接にはわからないなどの欠点があった。そういったさまざまな欠点を補った,漢字仮名交じり文が誕生したのは,自然な流れであったといえるだろう。実際に漢字仮名交じり文が成立したのは平安時代の末であり,それまでは原則として漢字だけで書くか,ほとんど平仮名だけで書くか,いずれかであった。発音がわかるように書くための工夫から,漢字仮名交じり文が成立したといわれている。はじめ,この書き方は,説話文学の作品に用いられた。説話文学は,口でかたった話を元にしたものが多く,作者である僧や学者たちは,日頃から漢文に慣れていたため,漢字仮名交じり文が採用されたであろうと推測できる。やがて,時を経て,他のジャンルのものも漢字仮名交じり文で書かれるようになっていった。
 また,はじめのうちは,平仮名と片仮名のはっきりとした区別はなかった。区別されるようになったのは,平安時代の中ごろだという。芸術的な事情をひとつの理由として,多く用いられたのは片仮名よりも平仮名であった。貴族の社会では,歌や物語を書いた巻き物が生活を飾る道具の一つであり,また,やりとりする手紙にも意匠をこらした。よって,曲線的な字体である平仮名が芸術的であるとされ,好んで用いられたのである。
 以降の日本語表記体系のなかでは,漢字表記,平仮名表記,片仮名表記,の三つの表記が用いられている。

2-2. 表記に関する最近の研究
 内山(1999)は,文字体系間の使い分けは,表記規則によって厳密に律されているわけではないとし,使い分けは,一般に慣習的であると述べている。文字体系の使い分けには,語種との関わりも認められ,和語は,主に平仮名もしくは漢字,漢語は主に漢字,いわゆる外来語は,主に片仮名で表記される,としている。
 また,片仮名表記に着目し,片仮名が表記する言語的要素として,以下の十項目を挙げている。

  ①漢語以外の外来語
  ②擬音語・擬態語・擬声語
  ③固有名詞(地名・人名・組織名・団体名・タイトル名など)
  ④外国人による日本語の音声
  ⑤片仮名英語・ブロークン=イングリッシュ(ジャパリッシュ,ジャパングリッシュ   などと称される)を示す
  ⑥動物や植物の和名,俗名
  ⑦慣用的な漢字の代替表現
  ⑧臨時に特定の語を示す
  ⑨臨時に特定の音声を示す
  ⑩符号の類

 片仮名表記語は,本来,漢字・平仮名での表記を予定されるべき語が,片仮名で表記されたものであるともいえるとしている。以下,内山(1999)「電脳時代の片仮名表記のゆくえ-メタファーと表現効果をめぐって-」を簡潔にまとめる。
 佐竹(1989)(筆者未見)は,若者における感情の表出をもととする話し言葉的表現が,非標準的なものとして片仮名表記を好むと述べている。片仮名表記が,非標準的である点にその表現性の基盤を持つ,という意見は,近時の文章が片仮名語よりもむしろ漢字が多いという見解とともに表れる。片仮名語が「氾濫」し,文字表記中に片仮名の占める割合が多くなると,むしろ視覚的に漢字が新鮮になる。
 しばしば,片仮名は,その直線的で省画化された形態が,軽快でスマートな心理的効果を持つと説かれ,それが外国語を表記するという職能をもって存在していることが付け加えられる。しかし,片仮名表記語は,漢字や平仮名との比率において考えられるものであって,とりわけその<表現効果>を論じるとき,心理学的要因はそれほどまで有効ではない。
 土屋(1976)(筆者未見)は,「はな」「くび」「ゆめ」の語をとりあげ,漢字表記語と片仮名表記語とが併行して行なわれた場合,前者の方がより具体的な事物を指すと述べている。言い換えれば,片仮名表記語は,対象の暗喩的拡張を表示するということになる。
 表記の問題は,文学の表現において,ほとんど重要ではないという意見もある。表記が文体の問題に本質的ではない,という指摘である。しかし,「渡邊さん」と「渡辺さん」とが同じという程度には,「渡辺さん」と「ワタナベサン」とは同じでない,と考えられる。我々は,明らかに前者が日本人(日本語母語話者)の呼びかけであり,後者が外国人(日本語非母語話者)の呼びかけであると理解することができるのである。ただし,そのときに片仮名は音だけを抽出して転写しており,それが表音文字と呼ばれる所以であろう。この,音声形を表示する機能は,片仮名を,一面,客観的な機能を持つものとして見ることを可能とする。
 片仮名は,片仮名表記語を産む動力として,つまり,その<表現効果>として,概念の暗喩的拡張と,対象への客観性の確保とに機能していると見られる。それらはともに,特定の解釈に回収されうる特性を持っている。このようにして与えられる片仮名表記語の二重性が,その未来を予見するものと考えられなければならないのである。
 以上,内山(1999)「電脳時代の片仮名表記のゆくえ-メタファーと表現効果をめぐって-」をまとめた。
 中山(1998)は,片仮名表記語の実態を探るべく,新聞三日分を対象に片仮名表記語を拾いだし分類を試みている。その結果,非外来語の片仮名表記として,次の13項目を挙げている。
 1 擬音(声)語・擬態語  2 感動詞・終助詞・語気語調  3 振りがな     4 方言・文  5 外国人の発話文中語・外国製単語  6 混種語   
 7 動植物名・性別  8 専門用語・隠語・俗語  9 電報文・(事務書類の宛名)
 10 単位・数を数える語  11 人名・国名・地名  12 機関・施設名 13 その他

 また,「13 その他」について,さらに以下の(1)~(6)に分類している。

 (1)漢字で表される漢語の第一義でない場合
  本のオビ(帯) カギを握る(鍵)
  コツ(骨)をつかむ 目からウロコ(鱗) ノビてる(伸びてる)

 (2)第一義だが,漢字で書くとわかりにくい場合
  メド(目処)が立つ ベーゴマ(貝独楽) ボヤ(小火)

 (3)表記者が本来の意味に特別な意味を加味している場合
  カネ ズレ モノ 岡光サン

   ・本来の意味と区別したいため
    「カネ」はここでは選挙資金を指す,という具合

 (4)表記の段階で,他とのバランスを考えたと思われる場合
  ケイリン ハサミ おチビさん

   ・例えば,自転車競技の種目として,「エリミネーションレース,ポイントレース」等と並んで「ケイリン」が挙げられているが,この場合は,他の種目名が全て片仮名表記であるので,競輪も片仮名表記されたと考えられる。

 (5)見出し語等の単なる強調の場合(視覚的効果を狙ったもの)
  ナゾ ニセ 「ハズレ」

 (6)漢字または平仮名表記でよいと思われる場合
  マンガ カッコ ムダ オムツ

 中山(1998)は,非外来語の片仮名表記と外来語の片仮名表記は1:9の割合だが,片仮名表記される言葉は非外来語の方が多様だと述べ,一時的な流行語ではなく,ある程度定着した語の,それなりの規制のなかでの表記であるとし,この多様性を受け入れざるを得ない確かな存在だと述べている。
 安井稔(2000)は,片仮名表記語の特徴として,ハイカラ性と隔絶性とを挙げた。特に,隔絶性については,漢字のそれよりも大きな効果をもたらすとしている。片仮名表記語が増加している理由としては,次の二つの特性を挙げている。

 1 「非表意的特性」 「表音的特性」
 2 片仮名語形態素の境界を確実に切り取っているレンガ性,漢字性,独立性という特性




 

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わあぁ~い
全部読みたいと言ってたら、すごい!!
ありがとうございます。
 難しい漢字が簡単に・・・これは、今の中国でもそうですよね。
 どんどん簡略化されていて、ぱっと見分からなかったりしました。(前に行ったとき)
 文字は生きている・・・そう感じた蛙でした。
つい、パソ変換で漢字を使っていた自身を反省。
好きだからこそ、大事に漢字を使いたい・・・・と思いましたね。
青蛙 2008/04/26(Sat)07:35:28 編集
>青蛙さま
よ、喜んでいただけて幸いです>< あの、ご無理なさらないでくださいね(自分で文字の多さになえた;
アナログで文字を書こうとすると、ひらがな率急上昇します。なんだかんだいって、パソは便利ですもんね>< 読めても書けない漢字ばかりで、私も反省です;
光太朗 URL 2008/04/27(Sun)14:31:36 編集
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