忙しいんです。
忙しいとストレスたまるので、本当に書いてしまいました>青蛙さま
その名も
『莉啓の中華一番』
本人が書いてますが、エラン本編とはまったく関係ありません!
セルフ二次創作(って文字にするとすげえイタイ)ってことでご了承ください!!
題名は青蛙さまにつけていただきました。
すっっごい好きでした。家に同人誌あるんですけど。
でもべつに中華一番は関係ないですよゴメンナサイ。
というわけで、ERRANTセルフ二次創作かるいコメディタッチで莉啓主役の料理モノ、ブログにて不定期連載です。
興味のある方だけどうぞー。
小説書くのは素敵なストレス発散法ですね。
ふいー。
莉啓の中華一番 1
赤、黄、緑のドレスを着た食材たちが、鉄のホールで踊っている。
音の変わる一瞬の隙を逃さず、投入されるアルコール。一気に炎上するが、その様子に眉一つ動かすことなく、彼はフライパンを振るい続ける。
最後に塩をひとつまみ。それからフタをして、微動だにせずきっかり六秒。
それから彼はフライパンを火から上げた。大皿に、手早く、かつ丁寧に盛りつける。
完成だ。
「こんなものか」
一流シェフ顔負けの豪華料理を作り上げ、それでも彼の感想は淡々としたものだった。
彼の名は莉啓。
職業は、炎の料理人──では、ない。
職業、といういい方をするのなら、彼は『従者』だ。それ以上でも以下でもない。彼は、もう何年も、赤髪の美少女に仕えている。
とはいえ、彼女の舌を満足させるためだけに振るわれるその腕は、とうにそこらの料理人のものを凌駕していた。しかし彼にいわせれば、それすら彼女の味覚が素晴らしいからこそついてきた結果であり、彼の功績ではないらしい。
彼にとって、世界の中心は彼女だ。
悠良という名の、赤髪の美少女。
「おいしいわ」
出された食事を淡々と口に運びながら、悠良はそう感想を述べた。それについて、莉啓は特に答えない。彼女のために作った料理がおいしいのは、彼にとってはもはや当たり前のことだ。
「アタシも食べたいワ」
悠良の隣で、頬杖をついている少年が、裏声でそんなことをいってきた。莉啓は彼を一瞥し、笑みも怒りも顔には出さず、静かに告げる。
「ない」
一言。
あまりにも冷たい、非情な、しかし現実だ。
「ごらんになってください、みなさん! この現状を! 俺たちの関係をなんだと思いますか、ええそうですねちょっと恥ずかしいですが、あえて言葉にするなら、仲間! そう、仲間! 俺たち三人仲良しこよし、何年も一緒に旅をしている仲間なのです! それが、メシどきに出されるのが、悠良ちゃんの分だけってどういうことでしょうか──!」
少年は天井を仰ぎ、ずいぶんと長い独り言を吐き出した。音を立てない所作でスプーンを置き、ナプキンでそっと口元を拭うと、悠良は隣をちらりと見る。
「うるさいわよ、怜。食事ぐらい静かになさい」
そうして、彼女だけ食事を再開した。
怜、と呼ばれた少年は、恨めしげに悠良を見る。彼女の目の前にだけ、燦然と輝く豪華ランチ。向かい側に座る炎の料理人の前にも、食事の類はない。
「食事ぐらいって……食べてるの悠良ちゃんだけじゃん……」
「何か文句でもあるのか」
あまりにも答えの分かり切っている莉啓の問いに、答えてやる気力もない。
怜は、大きく息を吐いた。身体中の空気をため息に変換したかのような、長い息。それすら、もったいないような気になる。
彼ら三人が抱えている問題は、明白だった。
そしておそらく、それに気づいているのは怜だけだ。彼だって、本来ならそういうことに気を回す性格ではないのだが、この場合自分がやらなくてだれがやるというのだろう。
怜は、皿の上で生存していたパンの切れ端を素早く口に運び、一気に飲み込むと、真剣な目で相棒を見た。
「啓ちゃん、大事な話があるんだ」
「貴様、いま悠良のパンを食べたな」
相棒も真剣な瞳だ。怒りに満ちている。
「いや、それはまあそうだけど、そんなことより大事な話が」
「そんなことだと? 悠良の食事を横取りしておいて、その事実をそんなこと呼ばわりか!」
「……悠良ちゃん、ヘルプ!」
隣の少女に助けを求める。彼女は冷淡な瞳で、すでに怜を見ていた。
「三倍返しね。吐き出せとはいわないから、安心なさい」
「う、ヘルプ失敗!」
とはいえ、他に自分を助けてくれそうな人間はいない。というより、キッチン付きの豪華宿の一室には、三人しかいない。
怜は、意を決した。ここは頑張りどころだ。
いじめられている場合ではない。
「俺たちはいま、ものすごく重大な問題を抱えている!」
話の流れは完全に無視して、怜は勢いで押し切った。
拳でテーブルを叩く。皿がかすかに宙に浮いた。
冷淡二人組は、とりあえず聞いてくれるのか、黙って怜を見ている。怜は、もったいぶるように咳払いを一つ。
「簡潔にいおう────金が、ない」
莉啓が、眉をひそめた。
「ばかな」
「ばかなって! ばかなってどういうことだコラ! いま悠良ちゃんが食べたフカヒレやらツバメの巣やらの豪華食材、ほいほい買ってきたのおまえだろうが!」
とうとう何かがキレて、怜が声を張り上げる。最後のスープを飲み干して、悠良は小首をかしげた。
「それって、高いの?」
ごく基本的な問い。
「いや、それほどじゃない」
間違った答え。
怜は頭を抱えた。この二人は、金がどこからか湧いてきているとでも思っているのだろうか。
「もーほんと頼むから真剣に考えようよ。どーすんのこれから。見るの怖かったけどさっき財布見たらさ、今日のぶんの宿代払ったらすっからかんなんだけど」
莉啓が眉をひそめた。
ばかな、ともう一度いわれそうだったので、怜が先手を打つ。
「そこで俺は考えました! いつもなら地道にバイトやらなんやらするとこだけど、ちょっとここらでドカンと稼いではいかがかと! そこで、おあつらえ向きにこれ!」
懐から、紙切れを出す。
町のそこかしこに貼ってあった紙だ。派手な色遣いで『参加者募集!』の文字。
莉啓は、無言で文字に目を落とした。悠良は、声に出して読み上げる。
「参加者募集、世界の料理人選手権──優勝者には、金五百と最先端調理セット」
満足げに、怜が笑む。
「そう、料理人選手権。どうよ、これ。啓ちゃんが優勝すれば、金五百!」
「俺はこんなくだらないものに──」
莉啓の言葉を遮るつもりもなかったのだろうが、参加資格等を読み終えた悠良が、強大な力を持つ一言を口にした。
「出たら?」
何気ない一言だ。莉啓は、悠良を見て、微笑んでうなずいた。
「──出よう」
怜は、心の中で握りしめた拳を手前に引いた。思惑どおり。こっそりと、懐に忍ばせているカードを確認する。
大会の開始は、明朝。本当はエントリーまで済ませているという事実は、ぎりぎりまで黙っておこうと心に決めた。
つづく!!
本当に始まってしまった「中華一番!」
もう、この三人が出てきたところだけで涙・・・会いたかったよう。
そして莉啓の悠良への手放しの甘やかしと伶への冷酷っぷり・・・ああ、伶がやられてるシーン結構蛙は好きなんです。困ってるのに何かおかしいやりとりがツボなんです。
ったく完璧な莉啓がなんで事悠良についてとなると世界感がどどっと変わるのか?
も~何から何まで蛙のツボだらけ。
がんばれ!莉啓!究極の料理をつくるのだあっ!
パソの前で伶と一緒に拳を手前に引く蛙。
「よっしゃああ!グッ ジョブ伶!」
次が楽しみです。
莉啓ったら、幸せ者ですねー。
そんなにいってもらえるのなら、今日はなんかまだ時間ありそうなんで、さっそく続き書きます。
もうほんと嬉しいです、ありがとうございます><