ジョニー「ヒュイィ、ヒュゥゥ」
キャサ 「そういうわけで、今回はわたし、キャサリンと……」
ジョニー「ヒュイー」
キャサ 「で、お送りしたいと思います」
ジョニー「ヒュイ、ヒュイィ、ヒュゥー。ヒュユ」
キャサ 「そうなのよね。シャルロットさんたちったら、どこに行ったのかしら。仕方がないから、準レギュラーのわたしたちで、がんばりましょうね!」
ジョニー「ヒュイ、ヒュヒュイ」
キャサ 「あら、また、そんなこといって。ありがとう、ジョニー」
ジョニー「ヒュイヒュイ、ヒュウー!」
キャサ 「そうね、では、今回の作品を紹介します。今回は、伽砂杜ともみさんの作品です」
キャサ 「素敵! ジョニーのかっこよさ、かわいらしさ、しぶさ、男らしさ、小粋さ、アツさ、ユーモア、男気 、ミステリアスな雰囲気、なにもかもが表現されていますね!」
ジョニー「ヒュイ、ヒュイ~」
キャサ 「あら、ジョニーからも? そうね、がんばって、ジョニー!」
ジョニー「ヒュイ、ヒュイッヒュイ。ヒュイィ、ヒュユゥ、ヒュイヒュヒュイ~、ヒュイ、ヒュユユ。ヒュイヒュイ、ヒュイー。ヒュイ~♪ ヒュイヒュイ、ヒュウー!」
キャサ 「うぅ……! 涙が止まらないわ! ジョニーったら、立派になって……この勇姿をどうしよう……! 」
・
・
・
エリスン「この状態をどうしよう……」
シャル 「うぅむ、緊急事態だと呼び出され、カフェで待ち続けること数十分……まさかこんな展開になっていよ うとは」
エリスン「完全に騙されたわね。というかそこまでして出たかったのね」
シャル 「それにしても、伽砂杜くんの作品は素晴らしいな。まさにディンドンの森ではないか。まるで見てきたかのようだ」
エリスン「あたし、こんな帽子欲しいわ」
シャル 「ふむ。では、伽砂杜くんには後ほどエリスン君お気に入りの帽子をお送りしよう。ぜひ活用してくれた まえ」
エリスン「なんでそうなるのよ! 帽子欲しいっていったのに!」
シャル 「だからだよ、エリスン君。せっかくの機会だ、ここはジョニーさんたちに任せて、我々はショッピング といこうではないか。君に似合う帽子を新調しよう」
エリスン「え、買ってくれるの? 行く、行く」
シャル 「まあ、君に似合う帽子があるのかどうかが問題だがね! はっはっは!」
エリスン「…………(怒」
***
もう、この森……!! 森すごい!! 細かい……!!
そして相変わらず、日常の1ページを切り取る技が素晴らしいです>< まさに彼らの日常、という感じです。なんかシャルが偉そうなこといってるけど内容ないんだろーなーとか、エリスンはハナから聞いてないんだろーなーとか、ジョニーはいつも楽しそうだなーとか、ジョニーさえいればキャサリンはなんでもいいんだろーなーとか。
伽砂杜さま、ほのぼのイラスト、ありがとうございました!><
伽砂杜さまもいつもシャルに食いついてくれて……シャルやっててよかったなぁと思わせてくれます。ありがたやっ!
そんなこんなで『続々 シャル』、短編集にするか連載にするか迷いつつ(まだそこも決まってないんかーい)、そのうち書き始めます。
昨日いっていた、小説風景12選の短編は投稿してきました。コチラです。『これは酷い』という愛あるコメントをいただきましたが、ほんとそんな感じっ! やばいね!
2月の絵師さまはAYAKAさまなのですが、もう謝るしかないです。ごめんなさい。
き、きっとゆずはらさまが素敵な作品を書いてくれるはず……って勝手なこと書いちゃイケナイよね。うん、よくない>< 一覧発表は2月1日です。
こんなはっちゃけたコメディになってしまったのは、どう考えても直前まで書いていたエランの影響です。
で、連載終わったエランの1シーン漫画を、青蛙さまが描いてくださいました! もらってきちゃった☆ てへ☆
すでにご覧になった方も多いと思いますが、続きで自慢っっ><
シャル 「はっはっは、それは困ったな。まさかこの探偵社に、ロンドドに住む全員がやってくる日が来ようとは」
エリスン「さすがにそんな日は来ないから安心して。物理的にムリ」
シャル 「ふむ。全員というのは、どこからどこまでをいうのかな」
エリスン「いただいた作品を見てみましょう。今回は、黒雛桜さまの作品です!」
シャル 「おお、これはまた大所帯だ!」
エリスン「すごいわ、1、2……ジョニーさんも1人で数えて、10人もいる!」
シャル 「ネコに扮する光太朗氏と、犬もカウントするなら12人だな」
エリスン「それにしてもシャルロット、偉そうねー」
シャル 「はっはっは、君ほどではないだろう」
エリスン「偉そうかつバカそうなところがよく表現されているわ。すごい」
シャル 「はっはっは、そういうのは本人に聞こえないようにいってはどうかな」
エリスン「キャサリンさんとジョンーさん、仲良さそうだわ。微笑ましいわね。後ろの派手な衣装は……マリアンヌさんね」
シャル 「マリアンヌさんといえば、名前がエリスンヌとかぶっているという事実をどう思うね」
エリスン「あら、ムノウ刑事と下っぱさんもいるわ」
シャル 「意図的かもしれないが、ウノム刑事だ、エリスン君。私はツッコミ要員ではないのでね、もう少し慎重になってくれたまえ」
エリスン「ケイティさんったら、許嫁さんと仲良くしてるって手紙にあったけど、やっぱりバレンターさんのこと気になっちゃうのね。ふふ」
シャル 「はっはっは、鮮やかなまでの無視がすがすがしいな」
エリスン「なんだか、見ているだけで楽しくなるわね。黒雛さん、素晴らしいイラストを、ありがとうございました! 黒雛さんには……ええと……」
シャル 「ふむ、では、『もれなく君も正義の戦士! バレンター変身スーツ』をお送りしよう。奇しくもバレンタインシーズンだ。ぜひとも、バレンターにインしてくれたまえ」
エリスン「さ、今日も素敵な作品を見られて、とってもいい気分! お菓子でも作ろうかしら」
シャル 「ならば、スイートポテトはどうかな。手作りは市販のものよりもよほどおいしいらしい」
エリスン「そうね、おイモあったかしら……」
? 「ぜんぶで12人……そんなはず……そんなはずは……! 必ずミーもどこかに、どこかに……!! ──────っ!? ちっさ!!」
***
全員集合のめっちゃめちゃにかわいいイラストです! 引き延ばして飾りたい!!!
ミニキャラのかわいさと、全員の表情やポーズ、なんかもう、『シャル!!!』って感じです。さすがです、黒雛さま。
黒雛さまとの出会いは、シャルなしでは語れず、そういう意味では恋のキューピッド(恋の!?)的な役割をしてくれたシャルに大感謝……! ありがとう、シャル! はっはっは、なあにそれほどでも。ところで何の話かな?(一人二役。
シャル祭りもいつの間にか三週目……今までにこちらでババーンさせていただいたイラストは、早くも8枚目! SSはすでに二つ公開……うう、こんなちゃんとお祭りになるなんて思ってなかったよ……ありがたいっ><
お祭りが実現したのも、黒雛さまが食いついてくださったのが大きいです! ほんとに!! 改めまして、黒雛さま、ありがとうございましたーー!><
小説風景の短編を書いたら、次はシャルを新しく書きたいと思います。ネタはいろいろあるけど何にしよう、といまからわくわくしてます。二人の出会いは一度書きたいな><
あと、エランのページを新しく編集中。まだまだ未完成ですが、いちおうこういうの作ってます。(※未完成なので、うっかりリンククリックすると戻れなくなる無限ループの可能性アリ! ←コラ)
エラン連載に、鼻血もののコメントを新しくいただけて、なんかもう幸せに満ちてます。
ちなみに昨夜は、コメントとかもらいまくってウハウハの夢を見ました(あまりにもイタイ夢だ。 でも目覚めても幸せ気分持続でヨシとします。
そんでは、最後に例のアレ、、、
■シャル☆人気投票やってます><
■web拍手からでも問題ナシ!
拍手レスは、コチラです><
というわけで! ドロンー!!
シャル 「はっはっは、エリスン君、それはパスポートの捜索依頼ということかな? 報酬はエリスンパイ、それ で引き受けよう」
エリスン「私としたことが探しものを見つける最良の方法を忘れていたわ」
(以下二人同時に)
シャル 「……『名探偵シャルロット=フォームスンに依頼する』」
エリスン「……『あなたにだけは関わらない』」
…しーん
シャル 「さあエリスン君、エリスンパイの支度をしたまえ。この事件は間もなく解決するぞ」
エリスン「最初から期待なんてしてなかったけれど相変わらず聞いてないわね」
シャル 「はっはっは、これを見たまえエリスン君、今朝のロンドド☆タイムズだ」
『飲食店連続襲撃事件の容疑者と疑われる謎の白生物がまたもメディアをにぎわせた。所持していたパスポートによると名前はエリスン=ジョッシュ、住所はロンドド郊外。職務質問に対しては「ヒュイヒュイヒュ、ヒュイ」「ヒュイー!」「ヒュュユィー、ヒュウー」 などと答えたという。また、この写真に偶然映りこんだ男は先日ロンドドのメインストリートに現れた着ぐるみ男である可能性が高く、当局でも確認を急いでい る。(撮影アルミンヌ)』
シャル 「……と、いうことだ、エリスン君。君のパスポートは、パスポートを発行してもらえず困っていた依頼 人にこの私が貸出したのだよ、はっはっは! それにしてもパリンは寒かった。あんまり寒いのでついついあれを着てしまったよ」
どんどんどん!(扉を叩く音)
記者 「エリスン=ジョッシュさん、開けてください!ロンドド☆タイムズです!」
記者 「何でもいいです、コメントをー!」
エリスン「……私としたことが、探しものを見つける最良の方法を忘れていたわ」
(以下二人同時に)
シャル 「……『名探偵シャルロット=フォームスンに依頼する』」
エリスン「……『絶対に何かやらかしているあなたを真っ先に疑う』」
**(以上、文章もあるみさま作)**
シャル 「というわけで、今回はライバルであるスチールを見事に蹴散らして単独優勝の、あるみ君の作品だ。イラストということで紹介したが、同時にいただいた会話のやりとりが秀逸だったのでね、こうして原文そのまま、会話文もいただいてきて しまったよ。はっはっは」
エリスン「何に優勝したの?」
シャル 「あるみ君には、後ほどジョニーさんなりきりスーツを進呈しよう。見た目の美麗さはもちろんだが、なんといっても耐寒性にすぐれている。非売品だ。ぜひ、着こなしてくれたまえ」
エリスン「何に優勝したの?」
シャル 「なんだね、一体。優勝というのは、何の話だね?」
エリスン「──! ………!? あたし、時々、あなたのことが本気で心配になるわ」
シャル 「はっはっは、大いに心配してくれたまえ! なあに、遠慮はいらない」
エリスン「…………。コホン。ええっと、せっかくなので、新聞記事の元になった素敵な合成写真も紹介します。 こちらです」
シャル 「ふむ、これがあの記事になるわけだな。できも素晴らしいが、思いつきがいい。いやあ、実に楽しませてもらった」
エリスン「ところで、シャルロット。あたしのパスポートが見あたらないんだけど?」
シャル 「はっはっはっ」
エリスン「悪用する前に返しなさい」
シャル 「はっはっはっはっはっ……」
エリスン「…………さてはどこにやったか、忘れたわね?」
***
爆笑もののシャル記事でしたー!>< あるみさますごい!! ありがとうございますっ!!
いっそSSジャンル? とか思いながら、イラストとして紹介しました。こういうのもいいです、なんといってもおもしろい。
はてさて、前回の暗号の答えを一応書いておきます。
うせでさわいすこぐすさみあぞぐおたぎらおつさりあにけつさまさにm
でしたね。
左から右に読んでもわけがわからない。
右から左に読んでもナゾ。
並び替えようにも、ノーヒント。
そこで、最後の「m」が気になると思います。コレ何? と。
「m」単独で意味がわからないということは、「m」は単独では読まないということです。
意味を持たせるには、英語かローマ字か……少なくとも、他にももっとアルファベットが必要。
そう、つまり、「m」というこの文字こそが、最大のヒントだったのだよ!(誰?
で、ぜんぶローマ字読みでアルファベットに直してみる。
usedesawaisukogususamiazog
uotagiraotusarianiketusamasanim
です。
ラストのmが孤立しないように……となると、右から左に読むしかないです。
そうすると、
みなさますてきないらすとありがとうございますすごくしあわせです
↓
みなさま素敵なイラストありがとうございます。
すごく幸せです。
となるのでしたー><
「SSへのお礼はいいの?」とご指摘を受けました。
すみません、寝ぼけていたみたいです(コラ
SSだってもちろん嬉しくてしょうがないですっ>< 大感謝ですともーーーー!!!
わかった方、たくさんいらっしゃったみたいです。わかった君は、すでに名探偵シャルロット=フォームスンを超えた!!(嬉しくない。
そんなわけで明日からもシャル祭り目白押し。ゴリゴリいきます。
そろそろもう増えないから終了かな、と思いつつ、■シャル☆人気投票開催中~!
エラン連載終了記念ということで、エラン仕様にイロイロ変更した、■web拍手からでも投票デキマス><
では!
どろん!
見てみてびっくり。
第一話投稿が10月21日……で、完結が1月25日。
ええええ、三ヶ月もかかったの!?
そして連載中に、SSを9本書いているという事実。
な、なにやってんの!?(セルフツッコミ。
連載ってやっぱり向いてないのかな……。
でも楽しい日々でした。
よろしければ、のぞいてみてください。
『私の世界』
です>< 30000字強。いつもより長いですが短編です。
ああ、でもなんか、連載って終わっちゃうの妙に寂しいですね。
三ヶ月も奴らと親密にしていたのに。ぐすん。
いわゆる連載をほとんどしないので、新鮮な気持ちです。
もの悲しい。
早いもので、シャル祭り開始から約二週間。
いただいたイラストやSSを愛でては幸せな日々を送っております><
さてさて、今日は金曜日! SSの日です──!!
今回は、桐谷瑞香さまの作品です。
例によってシャル祭りのページにも小説ページをつけてありますので、どちらでもお好きな方からどうぞ><
ではでは、始まります!
『新米記者のとある出会い』
私は今、ロンドド郊外にある、茶色と白い煉瓦で造られた三階建ての建物の前にいる。そこで『探偵社』と書いてある看板を発見したのだ。汗まみれになっている私に向けられる視線がかなり痛いが、仕事にこれくらいのことは付き物だろう。
おっと、紹介が遅れました。私はミルマ=キュレル。ロンドド☆タイムズで働いている駆け出しの若手記者。そんな私にロンドドにある探偵の話を記事にするという仕事が舞い込んできたのだ。これは大々的な探偵特集であり、多くの探偵を紹介するために地域ごとに記者が振り分けられ、私はロンドドのとある郊外の場所となった。
さて早く取材に行って、早く帰って記事書かなくては上司に怒られるのに、どうしても足が踏み出せない。
だって探偵といったら、厳ついちょび髭のおじさんや分厚眼の眼鏡をかけている超理論思考のお兄さんとかでしょ!? そんな人から話を頂くなんて……、恐れ多くてできない。
ああ、どうしよう。さっきから脇からちらっと出たりして、ドアに視線を向けているけど、どうしても行けない。ああ、本当にどうしよう……。
「ヒュイー」
ん? 何、今のは。後ろから変な声が聞こえた気が。
「ヒュイヒュイヒュウー。ヒュヒュイー!」
だから一体何なのよ。変な声を出しているやつは!
私は勢いよく後ろを振り向く。そして固まった。目の前には真白で丸い物体、いや生き物らしいのか煌めく目と口が付いている。それが凄い勢いで私に向かってきていたのだ。
避ける暇もなく、謎の生き物が私の頭にぶつかってきた。
脳に激しく震動が伝わる。私は為す術もなく、倒れこんだ。
ああ、パパ、ママ。ミルマは一足先に逝きます。取材中に逝くのなら、本望です……。悔いがあるのなら、あのカフェのクレープ包みメープルイチゴシロップを食べて逝きたかった……。
だがどうやら私の意識はまだあるみたいで、上から女性と謎の生物の声が聞こえてくる。
「まあ、ジョニーったら、そんなに急いで行かないでよ」
「ヒュイー」
「謝らなくてもいいわ。……あら、この人は?」
「ヒュイヒュウヒュウ!!」
「何ですってジョニー、この人にぶつかってしまったの!? そんな! このまま病院まで連れていけば、ジョニーは犯罪者として牢獄の中に。逃げても罪が重くなるわけだわ……。ああ、どうしましょう」
「ヒュヒュイ?」
「まあ、それはいい考えだわ。シャルロットさんの所にひとまず連れて行くなんて。彼ならいい案を出してくれるかもしれないわね」
シャルロット……? 誰その人。まあいいや。どうとでもなれ……。
私はか弱い女性に抱えられながら、階段を上らされた。薄ら目を開けると、飛び込んできたのは『フォームスン探偵社』の看板。ちょっと待ってよ、心の準備ができていないよ!
もちろん心の叫びも聞こえることなく、扉は開かれた。
まず聞こえたのは少しキンっとくる女性の声。
「あら、キャサリンさん。どうしたの? そんな形相で。それにその人も」
「エリスンさん、お願いです。匿ってください!」
「匿う? 一体どうして」
「いいからお願いします! 私のジョニーのためなんです!」
「……わかったわ」
ずるずると引き摺られるのはもう嫌だったので、意識もしっかりしているし声を出すことにした。
「あの、自分で立てますからもう大丈夫です」
「しっ死体がしゃべったわ!」
誰が死体だ。私は死んでいない!
キャサリンと呼ばれた女性の手が緩むのが分かると、自分の足で探偵社へと立ち入った。まだ少し頭がくらくらする。かなりの勢いでぶつけられたのだからしょうがない。でもしばらくは動きたくない気分。額を触るとほんのり浮かんでいる。どうやらコブができているようだ。
目の前には長いブロンドの女性が少し迷惑そうな表情を浮かべながら立っている。後ろではドアが閉まる音がした。
「それでキャサリンさん、一体どうしたのです?」
「ジョニーのために力を貸して下さい!」
「わかりました。ひとまず座って。そこの人も」
エリスンと呼ばれた女性に若干きつい視線を受けた。
やっぱりこの探偵社には厳ついおじさんがいるんだ……!
部屋の奥に目をやると、大きな肘掛椅子に金髪で緑色の目をした青年が腰を掛けていた。思わず私は見とれる。異性に疎い私でさえもこう思えた、美青年だと――。
「おや、客人とは珍しい。まあ座ったらどうだい」
「あの、あなたは?」
「私かい? 私はこの探偵社の社長、シャルロット=フォームスン。君の脇にいるエリスンくんと共に、毎日難事件を追っている探偵だ」
私は目を疑った。予想していた探偵がこんなにも美青年だったとは!
髪を慌てて整え、頭痛がしているのも忘れて彼に近づき、慣れない手つきで名刺を差し出した。
「初めまして。わたくし、ロンドド☆タイムズで記者をやっております、ミルマ=キュレルと申します。今回は新聞で大々的に探偵特集をするということとなり、是非ともフォームスンさんにお話を聞きたく参りました。もしお時間があれば、取材をさせて頂きたいのですが、よろしいでしょうか?」
ドキドキしながら返事を待つ。すぐにシャルロットさんは口を開いた。
「ほほう、私に取材か。聞いたかね、エリスン君! 私に取材だ。私に取材だぞ!」
「まあ、取材ですって!? 困ったわ、ここしばらく美容院に行っていないのに」
「私もだ。今から行ってこなくては」
「……あの、お写真は普段のままの姿を撮りたいですし、今はお話の方を聞きたいのですが……、宜しいですか?」
私は置いてきぼりになりそうになった所に無理矢理入った。確かにアポなし取材だから、慌てるのは当然かもしれないけど。
シャルロットさんはにこにこしながら私を見た。
「取材は喜んで受けさせて頂くよ、ミルマ君」
「ありがとうございます。では早速ですみませんが、この文を読み解いて頂きたいのです」
本当はシャルロットさんの事件解決の話をじっくり聞きたいのだが、上司にはまず始めにこれを解かせるようにと言われた。だから私はしぶしぶ一枚の紙をシャルロットさんに差し出す。そこにはこう書かれている。
『 Kさまへ
宿舎る待つ
手甲太郎去り
私意乗り。
十!住まいの子
目を九奴過言
字はをるゃし藻後
M.K より』
そして、この言葉の脇にはアナログ時計の絵が描かれている。
一体何の文なのだが、私もパッと見ではわからない。
「これは一体何だね、ミルマ君」
「おそらく暗号です。これを是非解いて下さい」
「これを解くか。ふむ……」
シャルロットさんはそう言うと、考え込んでしまった。横からエリスンさんやキャサリンさん、そしてあの白い生き物、たしかジョニーとかいうのも物珍しそうに見ている。
どういう推理を披露するのか正直言ってかなり楽しみ。華麗に言い当ててくれたら、もう最高だ。
突然シャルロットさんはエリスンさんに目をやった。
「エリスン君」
「何かしら?」
「手甲太郎と言うのは一体誰だろうか。そして何だか急にエリスンパイが食べたくなった」
「さあよくわからないわ。それにしてもシャルロット、どうしてエリスンパイなのかしら」
「空腹を感じるのだ。お腹が空いてはこの暗号は解けないと思われる」
「それは残念。すぐに作れるほど材料はないわ」
何だか一瞬奇妙な言葉を聞いた気がした。暗号って、そのまま読むものじゃない気が……。それは置いといて、私はバックからクッキーの箱を取り出して、シャルロットさんに差し出した。
お腹が空いては思考も働かない。だからきっと変なことを言ったのだろう。
「フォームスンさん、つまらないものですがどうぞお召し上がりください」
上司に言われて、差し入れは必ず持っていくように言われたのだ。シャルロットさんは勢いよく箱に飛びつく。そしてばりばりとクッキーを食べ始めた。
「ありがとう、ミルマ君! はっはっは、何て美味しいクッキーなんだ!」
「ありがとうございます」
「さて、空腹も少し満たされたところで、この暗号を解こう。まずは実際に声に出し手読んでみようじゃないか」
「珍しい、シャルロットが正論を言っている……」
エリスンさんが何やら奇妙なことを言っているが、探偵としてはそれくらいの行為をするのは当然じゃないかと思う。大きく息を吸って、シャルロットさんは文を叫んだ。
『しゅくしゃるまつてこうたろうさりしいのりしてま。とお! すまいのこめをくやつかごんじはをるゃしもご』
少し音量が大きかったので、思わず耳を塞いでしまった。それにしても何度聞いても、チンプンカンプン。シャルロットさんはこれを読み解けるのかな。ううん、きっと華麗に素敵な推理を披露してくれるはず!
「エリスン君」
「今度は何? シャルロット」
「この文は、一体何だね?」
「わからないわよ」
「はっはっは、それはそうだ。さて、私の頭脳を使おう。これを読み解くと、ある宿舎から手甲太郎と言う人が去ったのだろう。そしてそこに住まいの子と呼ばれる子がいた。それならば、その人を呼んできてくれたまえ」
何だろう、何か心に引っ掛かってきたなぁ。
「あとは目が九つある人が余計に何か言葉をしゃべったのだろう。この人さえ揃えば全てが解決する。エリスン君、頼んだよ」
んんん? 何だこれは? 探偵というのは自分で行動するんじゃないの。それに九つある目って、どこかの異形ですか。そんな人存在するかしら。それに他の文字が全然解かれていないし!
私は思わずジョニーさんを抱えているキャサリンさんに尋ねてみた。
「あの、フォームスンさんは今までどういう事件を解決なされたのですか?」
「事件ですか? そうですね……、何かあったかしら、ジョニー」
「ヒュイヒュイヒューイ?」
「ああそうね。ジョニーらしき着ぐるみを着ていた時があったわね、白いモコモコの変なのを。ほら、偶然写真を撮ったのよ。もちろんジョニーの方がカッコいいわ」
写真を見た瞬間、何かにひびか入り始めていた。
「ヒュイヒュヒュヒューイ?」
「そうそう、自費出版で本を出したことがあるそうですわ。ねえ、エリスンさん」
キャサリンさんがそう言うと、埃が被っている本棚から一冊の本を持ってきた。『名探偵の心意気~心理編~ シャルロット=フォームスン著』という本を。おそるおそる私はそれをぱらぱらっと読み始める。普段活字と格闘している私には、パラ読みなど簡単なことだ。
……何やらシャルロットさんとエリスンさんがとんでもないことを言っているが、そんなのはもはやどうでもいい。
本を閉じると同時に、私の中で確かに砕け散った。
いそいそとシャルロットさんの机から、ほとんどないクッキーの箱を取り上げる。ついでに近くにあった自分も名刺も。
そして笑顔を作りながら、精一杯本心を隠しながら言った。
「すみません。やはりコブの痛みがまだひかないようなので、今日は帰らせていただきます。ああ、このコブは勝手に自分がこけて作ったものにしますので」
「それは残念だわ。またいらして下さい」
「何とミルマ君! それは残念だ。お大事にしてくれ。私はいつまでも君の事をまっているよ」
エリスンさんとシャルロットさんが次々と言っていく。キャサリンさんはコブのことを言ったおかげか、幾分表情が和らいでいた。
「では、失礼します」
そう言って、私は足早にフォームスン探偵社から出た。階段を下りて、顔をあげてさっきまでいた所を見る。そして、ぽつりと呟いた。
「……頑張って、他の探偵さん見つけよう」
確かに美青年だった。でも頭の中身は決して探偵とは言いづらかった。
収穫は頭のコブと空に近いクッキー箱。
しょうがない仕事だから。これくらいでへこたれない。そう私は自分に言い聞かせたのだった。
了
* * *
さて、他の探偵さんにさっきの文を解読してもらったところ、いとも簡単に解読した。
読み方としては、まず文章を段落はそのままで全て平仮名にする。
『しゅくしゃるまつ
てこうたろうさり
しいのりしてま。
とお!すまいのこ
めをくやつかごん
じはをるゃしもご』
そして時計の絵があったように、『し』を最初の文字として、時計回りに端を外から中へ読んでいく。読むと以下のようになる。
『しゅくしゃるまつり。こんごもしゃるをはじめとしてこうたろうさまのごかつやくをおいのりしています!』
滑らかな文章にするとこうなる。
『祝シャル祭り。今後もシャルを始めとして光太朗さまのご活躍をお祈りしています!』
完
***
いかがでしたかーー!><
暗号ですよ、暗号! 探偵ものですよ!? こうして探偵らしさを演出してくださって感涙です。ヤツは解いてないけど(笑
そかしこに、本編に登場する小ネタが挟まれていたりして、もう嬉しくて嬉しくて。にへにへしっぱなしでした。
キャサリンの妄想暴走とか、身だしなみ気にしちゃう探偵ズとか、偉そうながらちっとも暗号解けない感じとか……らしい! らしすぎるよあんたたち!!(笑
第三者目線が新鮮で、微笑ましいです。くじけずにがんばって、ミルマちゃん(笑
そんでもって私へのメッセを潜ませてくださるという小粋な計らい! イエーイ!!
桐谷さま、素敵なSSを、ありがとうございましたーーーー!!!!
例によって、シャル祭りは二日間お休み。次回は月曜です><
その間、ふつうのブログ更新はあるかもしれません(とかって先週はなかったな……。
そんでもって、おまけ。
桐谷さまのSSにならって、暗号投下。
うせでさわいすこぐすさみあぞぐおたぎらおつさりあにけつさまさにm
光太朗からのメッセージです☆(文字色とか関係ないですよ。
簡単めです。土日ヒマなんだぜっ、という方はやってみてください><
では最後にいつものー!
■シャル☆人気投票やってます><
■web拍手からでも問題ナシ!
ちゅーことで><
どろーーーーーんっ!!